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高齢者の健やかな生活とその活力ある地域づくりを!

― 国際高齢者年にちなんで ―


講演会風景日 時: 1999年10月1日(金) 18:30〜21:00 〔開場18:00〕

講演内容

  1. 挨拶
    蟻田 功 (ACIH)
    ♪あと30〜40年もたつと、日本や欧州では定年退職者が増加、ひどい人手不足になるそうです。すると、生産性が下がり、生活水準も今より20%位下がる。解決策として高齢者の再登場?
    どんな風に?若者との関係は?一体高齢者の健康度は?、たくさんの”?”と主に時代が急速に変わりつつあります。皆様とともにシンクタンクでも作って答えを探そうではありませんか。
  2. 基調講演
    大泉 博子 (山口県副知事)   演題「積極老後と市場の世界」
    1)少子高齢化社会を恐れず、2)自由世界の老人、開発途上国の老人、3)介護保険の考え方と社会福祉基礎構造改革、4)Market Oriented
  3. WHO制作ビデオ上映
    ♪高齢化は私たち個人個人にはチャンスをもたらします。しかし、これは同時に社会的な課題でもあるのです。1999年の国際高齢者年にジュネーブで開催されるウォークイベントを皮切りに、全世界で人々が一同に会してアクティブエージングを祝います。
  4. パネルディスカッション
座 長   二塚 信 (熊本大学医学部公衆衛生学講座教授、昨年度スタディーコース参加)
♪高齢者の85%は介護を必要としない。健康な老後をのための自助努力、公的支援が必要。高齢者保健福祉の3原則「継続性の尊重」、「自己決定の尊重」、「残存能力の活用」の意味を考えたい


パネラー:

堀尾 愼彌 (熊本託麻台病院 理事長・院長、本年度コース参加)
♪これからは、”高齢者が社会によって支えられる存在ではなく、より積極的に社会を支える存在である”とするアクティブな形の「活力化(Active Ageing)」へむけての社会、地域づくりが重要

京極 新治 (さく病院 地域医療部長、ACIH、本年度コース参加)
♪病院という建物から出て地域で診療を行う場合、医師は病気や障害のみならず、患者の全体像を把握し、保健、福祉、狭義の医療(治療)の各分野のスタッフを調整していく役目が必要・・・

曽根 智史 (国立公衆衛生院健康教育室長、本年度コース参加)
♪同じ高齢者でも比較的若い層(65〜74歳)と後期高齢者層(75歳以上)は分けて考えるべき。特に教育分野では、比較的若い高齢者に積極的に働きかけることによってQOLの維持が可能となる

村井 登代子 (温石病院 理事、本年度コース参加)
♪老い支度は早い程いい。心と身体の問題が一度にくる老い道をかき分けかき分け希望を持って明るく生きよう。お金と知恵を出し合ってシニアとシニアで助け合い・・・

米満 弘之 (熊本機能病院 理事長総院長、昨年度コース参加)
♪公的介護保険では、制度はドイツ、ケアマネージメントはイギリス、ケアプランはアメリカを参考にしたものである。爽やかな長寿社会にこの介護保険が果たす役割を考えてみる
 
指定発言 ・・・ 鶴田 克明 (鶴田病院理事長、熊本市医師会副会長、本年度コース参加)
♪日本では福祉におけるコ・メディカルの立場がいまだ弱い感がある。環境を整え、特にソーシャルワーカー、ナースの方々にそれぞれの専門性を高め大いに活躍して頂きたい
  1. まとめ

主 催
(財)国際保健医療交流センター (ACIH)

後 援
熊本県、熊本市、熊本県医師会、熊本市医師会、熊本県看護協会、熊本さわやか長寿財団、熊本県社会福祉協議会、熊日、NHK、RKK、TKU、KKT、KAB、FMK、City FM

事務局A C I H
〒862−0901 熊本市東町4−11−1 TEL 096−367−8899


講演会の背景

(財)国際保健医療交流センター(ACIH)では、昨年に引き続きチームメンバーを募り、今年も7月4日から15日の日程でACIH高齢化対策スタディーコースを実施した。ジュネーブ、ロンドン、オックスフォードの3都市を訪問し、意見交換を行った。基本的にエイジングの問題はその国または地域の歴史、文化、価値観と密接に関連しており、換言すれば、多文化的な文明論的な視野のもとにそれぞれの地域の対策を考える必要があることが感じられた。昨年は「老後の幸福とは何か? 今、我々にできること」というタイトルで9月30日に熊本市国際交流会館にて報告会兼講演会を実施し、盛況であった。

今年はご存知のとおり、国際高齢者年であり、更に10月1日は国連の定める高齢者の日、また介護保険の要介護認定作業が実施開始される日でもあった。このような事もあり、定員350名の会場に、昨年を上回る約370名の参加があり、高齢化問題に取り組む多くの関係者の関心を集めることができた。国連の世界保健機関(WHO)のエイジングアンドヘルスセクションではこの高齢者年の高齢者の日にちなんでアクティブエイジング(健やかに年を重ねよう)を唱える世界規模のイベントを展開しており、我々もささやかながら講演会を催すことによって熊本の声を世界へ発したのである。


基調講演要旨

現在、介護保険に焦点があるが、各個人目先のことに捉われすぎて介護保険の意味自体を問うことを忘れてはいないか?介護保険は福祉の民主化と高齢者自身の近代化を促す革命である。

  1. 少子高齢化を恐れず
    施策として介護保険や健康日本21計画などがあるが、少子高齢化を極端に憂えなくてもよいのでは?*高齢者の定義(65才以上?75才以上?)*子どもの定義(労働人口とはいえない大学生を含む?)*他のアジア諸国の労働人口を生産人口として考える*年寄りを年寄りにせず労働資源として考える。(日本の高齢者の就労人口は世界の中でも非常に高い。)

  2. 自由世界の老人、開発途上国の老人
    高齢者のための国連原則:1.独立、2.参加、3.ケア、4.自己実現、5.尊厳。
    9割の人が病院で死ぬ日本では家族にみとられて死にたいという人が多いが、果たしてそれが絶対の幸せなのか?アメリカの高齢者は親子が独立している事を誇り、そのような老後を好む傾向がある。一人暮らしの高齢の母親を無理に老人ホームに入れようとした娘が、その母に殺されたが、その母は裁判に勝った。インドでは、ヒンズー教の輪廻転生の思想から、古びた体は変えないといけない。最後はガンジス川のほとりに行って一人で絶食して死ぬ。そうすると魂は新しい生命体に乗り移る。墓もない。
    他の文化圏に暮らすと様々な価値観があることが分かる。理想の死に方の絶対はない。他者に自分の死をゆだねないで積極的に選択をする必要があるのではないか?

  3. 介護保険の考え方と社会福祉基礎構造改革
    構造改革の基本理念は、1.自己実現と自己責任 2.市場原理と競争原理である。
    介護保険は今までのように高齢者が制度やサービスに選ばれる丸抱えの保護ではなく、自分で自分にあったサービスや死に方を選んで利用するものである。
    これからは社会福祉現場の近代化が大切である。1.マーケットでの売り買い。2.国の法律による基本的制度化(サービスの質を守る)。3.民間事業所の規制緩和(経営の効率化とお客様本位の定着化)。4.地域福祉、権利擁護制度の整備。

  4. Market Oriented
    市場解放、市場原理の勝利によるマーケット志向。セイフティーネットの上で、適正な競争をし、市場でよいサービスを買って幸せになること。そのためには、社会サービスも、老後の楽しみも、質のよい値段も程よいものがマーケットで売られるようにならないといけない。50年間続いている福祉の配給制度(受け手もただ待つだけ)はおしまいにすべきではないか?

まとめ

介護保険制度・社会福祉基礎構造計画はマーケットを作るため、つまり積極老後をつくるためにある。マーケット志向の生き方が21世紀的な生き方ではないか?マーケットでいろいろなサービスを買い、自分の生き方、死に方を選びとっていくのが幸せな老後と考える。


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 [最終更新日:1999年12月25日]

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